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ムラのごちそうここにあり

家族愛を 感じつつ、 泊まる幸せ

●熊本県人吉市上原田町
稲葉志郎さん、千保さん
文/多久和 扶路子 写真/河村 明


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 日が沈み始めると土間の石窯に炭が入り、チーズの香ばしい香りが部屋いっぱいに立ちこめる。「おいしかですよ」と自信たっぷりに石窯の前に立つのは『農村民宿 しろうさぎ』のご主人、稲葉志郎さん。その横で「火力は大丈夫かな」と心配そうに石窯を見つめる妻千保さん。待つこと約10分。炭火でこんがり焼かれたピザが石窯から取り出された。カリッとした生地ととろっととろけるチーズの間から、みずみずしい夏野菜の甘味がにじみ出る。食卓に運ばれる前にペロリとなくなった。当宿人気の石窯ピザ体験コースだ。
 稲葉さんが農村民宿を開いたのは3年前。「グリーンツーリズムひとよし」の立ち上げにかかわり、料理の研究や勉強会に参加するうちに農村民宿の魅力にはまっていった。体験した物が形として宿に残っていけばと、本業の石材屋をいかして石工体験を昨年から本格的に始めた。
 そして、もう一つの名物は、志郎さんの母ミノエさんが漬ける漬け物。御年79歳。22歳で嫁いでからずっと漬け続けている漬け物は、カリッと口にした瞬間、食べた人をとりこにしてしまうから不思議だ。味噌漬け、酢漬け、浅漬けなど。「田舎の味だけど、おいしい!と喜んでもらっています。民宿を始めてからは、ますます漬物作りが楽しくなって。今では立派な趣味よ」とミノエさんは笑いながら語った。

蕗の佃煮「きゃらぶき」。和菓子のようなほろ甘さ。食べだしたらとまらない、やめられない。

ミノエさんが作った漬け物の数々。シャキシャキとした食感の後にほんのり味噌の風味が広がる。ご飯はもちろん、お茶や焼酎、そして、なぜかピザの箸休めにピッタリ!

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石屋さんならではの贅沢な造りの石窯。火が入ると、土間全体が優しく和やかな雰囲気に変わる

窯ピザ体験コースは幅広い年齢層に楽しまれるのが魅力。食が細い子どももがっついて食べるとかカリッとした生地ととろっととろけるチーズの組み合わせが絶品

ちぎりたてのトウモロコシを皮付きのまま炭の上へ。焼きたてのアツアツをほお張ると、幸せな気持ちになる

志郎さんの母で、漬物名人で知られるミノエさん。「いろいろな人と出会えるので毎日楽しいよ。この前は、韓国のお客さんに"アニョンハセヨ"って挨拶したら『こんにちは』って日本語で言われちゃった。民宿を始めて若返ったね」

20種類以上の旬の野菜が
栽培されている稲葉家の畑

プリッと弾けそうなぐらい張りのある無農薬の自家製野菜。生でかじるとほんのり甘く野菜の香りが口いっぱいに広がる

農家をリフォームした宿には、土間に囲炉裏、五右衛門風呂、外トイレなど昔懐かしい田舎がぎっしりとつまっている

ご夫婦「農村民宿 しろうさぎ」主人の稲葉志郎さんと妻千保さん。いつも仲良く共同作業で旅行者をもてなす


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熊本 人吉
「農村 民宿 しろうさぎ」
「石窯ピザや石工体験を通して、  
  石の"旨味"を満喫。
  石でつなぐ民泊の輪」
食材は裏の畑で育った無農薬の野菜が中心。清流球磨川の水で育った米は、てりっと輝き、甘味がじんわり広がる。
熊本県人吉市上原田町字上原1355-3
0966-24-1550
1泊朝食付5,500円、
素泊まり4,500円
人吉ICから車で約15分